1分で読める【教えて!モアイくん】あなたの中のクリエイティビティを刺激する、TAROイズムを学べ

おや?
モアイくんがウンウン唸っています。
どうしたのでしょう?

モアイ
上司から明日までに新商品のアイディア10個考えろって言われて…

なるほど。
特別クリエイティブな職種ではなくとも、社会人になるとこうしたクリエイティビティ(創造性)を求められることはよくあります。
特に、機械的に行える仕事がITに取って変わられつつある今、クリエイティビティがなければ社会人として生き残れません。
とはいっても、モアイくんのように、日頃「会社の犬」としてイエスマンの仕事をしている人が急にクリエイティビティを発揮しようとしても、発揮できるものではありません。

モアイ
なっ!?

クリエイティビティを発揮する為には、日頃の発想から変える必要があるからです。
逆を言えば、考え方さえわかれば、誰にでもクリエイティビティは発揮できます。
そこで今回は、日本が世界に誇る芸術家、岡本太郎の独特な美学、“TAROイムズ”を通して、クリエイティビティの発揮の仕方を学んでいきましょう。

【1】“対極”が新しい価値を生む

岡本太郎といえば、太陽の塔が有名です。
太陽の塔は1970年、大阪万博のために造られました。
当時、太郎がモニュメントの建造を依頼された広場には、既に、丹下健三が設計した巨大な「大屋根」が建設されることが決まっていました。

しかし太郎はそんなことには構わず、その大屋根をぶち抜く形で、高さ70mの太陽の塔を建造することを決めました。
丹下との間で、多少のすったもんだがあったようですが、最終的には丹下も太郎の提案を飲みました。
結果的に、水平方向に広がる無機質な鋼鉄の大屋根と、それを突き破り、空へそびえる異形の塔のコントラストは、見る者に強烈なインパクトを与えました。
太郎はこのようにあえて真逆のものをぶつけることで、新しいものが生まれるという考えを持っており、それを“対極主義”と呼びました。

私達は、アイディアを求められた時、つい、既存の商品やサービスと調和する提案をしてしまいがちです。
しかし、そこに新鮮さはありません。
ですから、時には太郎のように既存のものとは、真逆の発想を提案してみてはどうでしょう。
それがそのまま採用されずとも、それがきっかけで議論が活性化し、いいアイディアが生まれるかもしれません。

【2】否定されるものこそ貫く価値がある

真に新しいもの、時代を先取りしたアイディアやサービスは、たいてい、最初は否定、批判されるものです。
パリ留学から戻った太郎が発表した原色を使った絵画も当初は批判され、“色音痴”とまで呼ばれました。
当時は「詫(わ)び・寂(さ)び」を大事にする、古風な色遣いが主流だったためです。

しかし、批判されても太郎は自分のスタイルを変えずに描き続けました。
そしてその後、西洋から原色を主とする新しい絵画が日本にもたらされ、日本画壇の風潮も一変したのは周知の通りです。
このエピソードは、本当に新しいサービスや商品であれば、批判されても、すぐに評価されなくとも続けることの大切さを教えてくれます。
市場を意識した、70点の企画を出すことも社会人としては大切ですが、70点の企画を5本出すなら、1本は批判覚悟で全く新しい提案をしてみてはどうでしょう。
きっと意気に感じてくれる人もいるはずです。

モアイ
そういう企画を考えて発表するだけでも、社会人としての経験値が上がるよ

【3】新しいことをやるのに自信は要らない

生前、岡本太郎はインタビューで「様々なことに挑戦できるのは、あなたが岡本太郎だからで、自信があるからでしょう?」と問われ、それを否定しています。
彼自身、自信など持ったことがないし、持つ必要もないと言っています。
新しいことをやるのに不安はつきもので、その時必要なのは自信ではなく、ただがむしゃらにやるという覚悟だと。

モアイ
覚悟を持って立ち向かえば道が拓けるってことだね

その通りです。
そして太郎は、こうも言っています。
現代人の多くがお金も仕事もあり、安定した生活をしていながら、常にどこか空しいのはこの、覚悟を持って挑むということをしていないからだ、と。
新しいことをするには危険や不安がつきまとい、だからこそ、瞬間、瞬間に集中し、立ち向かっていくことで日々に緊張感が生まれ、自分でも知らなかった自分の底力が発揮されていくと。
最近、仕事がマンネリ化していたり、新しいことにチャレンジしていない人はぜひこの“TAROイムズ”を胸に刻んで下さい。

【4】無目的に創れ

太陽の塔のコンセプトとして、太郎は「べらぼうなもの」を創りたかったと述べています。
この、「べらぼうなもの」というワードは、太郎が折りにつけ口にしていた、「無目的に創れ」というワードと呼応します。
SNS全盛の現代、何か新しいことを考える際も、ついバズることを意識したりしがちですが、太郎はそうした考えを「卑しい」と一刀両断しています。
太郎から言わせれば、そんな誰かの目を意識したものなどバズりはしない、ということでしょう。
それよりも、人の目など気にせず、ただ良いと思うものをひたすらに突き詰めて創れ、それが太郎の考えでした。

モアイ
確かにそうした方が、新しいものは生まれやすいかも…

もちろん、会社は利益を出さなくてはいけませんから、太郎の考えのようなアイディアばかり出していても評価されないでしょう。
それでもどこかで太郎的な発想は持っているべきです。
無難な案ばかり出していても期待されませんし、あなた自身も仕事にやりがいを失ってしまいます。

ですから、(時々、見当違いなことも言うけれど、こいつに聞けば、新しいアイディアを出してくれる)、そんな存在を目指しましょう。
それこそが、AIにとって代わられないクリエイティブな付加価値を提供できるポジションなのです。

【5】ニュー・スタンダードを作り出す気概を持つ

かつて、法隆寺の金堂内部の柱と壁画が焼けてしまった際、嘆く人々に対し、太郎はこう言い放ったそうです。
「法隆寺は焼けてけっこう」と。

モアイ
いや、それは流石に過激すぎるでしょ…

そのあとに、こう続けたそうです。
「自分が法隆寺になればいいのです」と。

モアイ
ん?どういうこと?

この発言は、法隆寺をありがたがる余り、燃えてしまったことを嘆き、思考停止に陥っている人々に喝を入れるものでした。
伝統を重んじ、ありがたがるのも良いが、失ったものを悔やむより、ここから、今から自分達が、新しい伝統を創っていく気概を持てというエールです。

モアイ
おぉ…そういうことか

 

こうしたマインドを持っていれば、企画会議などでも、臆せず、既存のサービスとは全く異なるアイディアを提案できるようになるはずです。

モアイ
今の時代、何がヒットするかわからないもんね

 

まとめ

今回は現代人のクリエイティビティの鍛える、“TAROイムズ”についてお伝えしました。
太郎の有名な言葉、「芸術は爆発だ」の「爆発」という言葉には、各個人が、無目的に明朗にその命を謳歌せよとのメッセージが込められています。
ぜひ、今度の企画会議は今回お伝えした“TAROイムズ”を胸に臨んでみて下さい。
きっとあなたの一言が、白熱した会議を生み出すはずです。