「石の上にも三年」
ということわざをご存知の方は多いと思います。
このことわざの意味とは、
「冷たい石の上にも三年座り続ければ暖かくなることから、辛抱することの大切さを説いた言葉」
とあります。(出典:『ことわざ辞典』高橋書店)
会社に入社して辛いと思っても、まずは三年やってみて考えようという人が多いのも、このことわざを元にしている人が多いのではないでしょうか。
この考え方に賛同するか否か、検索するとたくさんの情報が出てきます。
「三年働いてから辞めて良かった」
という人もいれば、
「合わないとわかったら、すぐ辞めた方がいい」
という人もいて、
どの意見を採用するかどうか、それぞれです。
一方で、経営者側としては、人を育てるのに時間もお金もかかります。
より長く働いてくれた人やスキルアップしている人が辞められるのは、企業側として痛手になります。
かと言って、採用したばかりの人に毎回辞められても人手不足に陥り、人も育たず、大変困ってしまいます。
そこで、採用するときに見抜きたい条件として、レジリエンスの高さが不可欠になってくると思います。
レジリエンスとは、簡単に説明すると困難な状況や問題に遭遇したときに、ストレスから回復できる能力のことを示します。
つまり、レジリエンスが高い人というのは、ストレスのかかる状況にあっても、困難な問題に直面したとしても、心のしなやかさをもってその事柄に対してへこたれない、逆境に強いということなのです。
部活動を頑張って継続してきた人が評価されるというのをご存知の方は多いと思いますが、それというのも、こういったレジリエンスの高い人であるということを評価されているわけです。
厳しい練習にも耐え、継続して続けてこられる何かがあるということは、何よりも高評価に繋がるのです。
「『巨人の星』というスポコン漫画が流行った時代じゃあるまいし、今はそういう厳しい練習に耐える時代じゃないよ」
「嫌なことがあったらすぐ辞めたらいい、我慢することは良くない」
「ブラック企業だってすごく多いのだから・・・」
そういう考えの元、辛抱するということが置き去りになってしまっているところもあります。
昨今、厳しく指導することが、とても悪いかのような風潮があるので、厳しく指導できないという上司も多く、本当に良い人材が育たないという問題もあります。
もちろん、行き過ぎた指導というのは問題ですし、行き過ぎた教育や躾というのも然り、どこまでが適切なラインでどこまでが不適切なのか、とても難しい問題だと考えます。
個人の受け取り方という部分に関わってくることだと思いますが、起きた出来事に対してどう受け止め、消化していくのかという部分がレジリエンスの高さに関わってきます。
例えば、運動会の徒競走で一生懸命頑張って走ったけれども転んでしまったという場合。
そこで、急いで立ち上がってすぐまた走っていけば、転んだとしても一位を取れたというパターンと、転んだまま落ち込んで泣いて走れずに徒競走が嫌いになってしまったというパターン。
どちらもありえるお話ですよね。
実際、徒競走でなくとも何かしらのそういった経験をお持ちの方はいると思います。
落ち込むことが悪いわけではありません。
同じ「転ぶ」という経験をしたとしても、すぐにまた走れる人と、走れない人の何が違うのでしょうか。
まず、気持ちの切り替え方が違いますよね。
転んだ事実は同じなのですが、すぐに走れる人というのは、「転んだこと」に意識を向けていないのです。
それよりも「走ること」に意識が向いているために、転んだことに対して落ち込む暇がないのです。
一方、走れない人は「転んだこと」に意識が向いて、「走ること」よりも転んでしまったことが辛くて次のステップが踏めません。
いつまでも失敗を引きずったり、自分の失敗に対してネガティブに捉えてしまうと、動けなくなってしまうのです。
この「違い」の部分がレジリエンスの高さになるのです。
雇う側になって質問を考えるとき、「失敗した経験」というのを聞く、ということもレジリエンスの高さを見抜くポイントになります。
ある意味、失敗したあとに挑戦し続けていける人、その失敗した経験をバネに頑張れる人というのは、自分を奮い立たせるパワーや目標を持つ人です。
トーマス・エジソンという発明家の言葉にこのようなものがあります。
私は、失敗したことがない。ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ
私たちの最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回試してみることだ
いかがですか?
失敗に固執しない、天才の言葉です。
失敗に固執してみて、動けない。
そんな経験も必要かもしれません。でもきっと気付くはずです。
そこから、自分は動けないままではいけないと。
柔軟な思考を持ち、失敗に固執しない。受け取り方が柔軟であり、失敗も糧にして努力できる。
レジリエンスを高くして、仕事のパフォーマンスを上げて、社内環境を良くしていきましょう!