就職活動や転職活動をしていると、よく目にする「社保完備」という言葉、この言葉の意味や内容を、しっかり理解していますか。
あなたが仕事をする上で、「社保完備」はメリットなのか、そうでもないのか、この言葉の意味や内容、そしてメリット・デメリットについて解説します。
配偶者の扶養の範囲で働きたい方にとって重要な、年収の壁についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
社保完備とは?
「社保完備」の「社保」とは社会保険のことで、原則、次の4つを指します。
「健康保険」・「労災保険」・「雇用保険」・「厚生年金保険」
「社保完備」とは、雇用されるにあたり、これらの保険に加入できるということです。
それぞれの保険の内容について説明します。
健康保険
病気や怪我、または休業、出産や死亡した際に給付を受けられます。
保険料は会社との折半となります。
労災保険
仕事の行き帰りや仕事中の事故や災害によって負傷したり病気になった場合に、給付が受けられます。
社員を1人以上雇用している会社は加入義務があり、保険料は全額会社が負担します。
雇用保険
離職や倒産によって失業した際、給付を受けられます。
厚生年金保険
いわゆる、老後に年金を受け取る為の保険です。
それ以外にも、けがや病気で障害が残った時の障害年金、亡くなった時に遺族へ支給される遺族年金など、あなたや、あなたの家族の生活を支える保険です。
加入条件
それぞれの保険には加入条件がありますが、条件を満たせば、パートやアルバイト・派遣社員でも保険に加入して働くことができます。
健康保険・厚生年金保険の加入条件
以下の(a)(b)いずれかの条件を満たす必要があります。
(a)
- 週20時間以上働いていること
- 月に8.8万円以上の給与があること
- 1年以上の勤務が見込まれること
- 従業員が501名以上の会社であること
- 自身が学生でないこと
(b)
- 「週の労働時間」と「1ヶ月の労働日数」がいずれも正社員の3/4以上であること
- 雇用期間が2ヶ月を超える見込みがあること
雇用保険の加入条件
- 31日以上雇用される見込みがあること
- 週20時間以上勤務する見込みがある
- 自身が学生ではないこと
こうしてみると、学生でなければ、それぞれの加入条件をクリアするのはそう難しくないでしょう。
「社保完備」で働くメリット
では、「社保完備」で働くとどのようなメリットがあるのか、ここでは現役で働く世代に関連の高そうなものをピックアップして紹介します。
厚生年金保険加入のメリット
年金の受取額が増える
国民年金だけよりも老後に受取れる年金が多くなります。
障害年金の等級数が多い
障害年金は障害を負った際、受け取れる年金です。
国民年金にも障害基礎年金という同様の制度があります。
しかし、国民年金だと対象の障害等級、つまり障害の重さが1・2級のみなのに対し、厚生年金だと3級でも一時金が支給されます。
健康保険のメリット
「傷病手当金」がある
業務外の病気やけがにより4日以上仕事ができず、給料が支払われなかった場合、平均給与の2/3が1年半支給されます。
「高額療養費制度」がある
ひと月あたりの医療費が高額となり、一定額(自己負担限度額)を超えると、払い戻しがされます。
私的な話で恐縮ですが、この制度には2年前、突然癌を宣告された際、筆者も助けられました。
「出産手当金」・「出産育児一時金」がある
出産手当金は出産のために仕事を休み、その間、給与の支払がなかった場合、出産予定日前の42日間と出産後の56日間を対象に、平均給与の2/3が支給されます。
また「出産育児一時金」は、妊娠期間が4ヶ月以上であれば、たとえ死産・流産であっても「赤ちゃん1人につき42万円」支給されます。
雇用保険のメリット
「失業手当金」がある
会社を辞めた際、在職時の給与の平均日額の5割~8割の額を受け取れます。
また、失業期間中に教育訓練を受けることもでき、場合によっては再就職手当金も受取れます。
「育児休業給付金」がある
子どもが1歳未満で育休を取得した場合、育休前の平均日額の67%が支給されます。
社会保険に入るデメリットとは?
社会保険に加入するメリットは多いですが、あなたの経済状況や立場によってはデメリットもあります。
「106万円の壁」に注意
前の章でお伝えした加入条件を満たし、年収が106万円を超えると社会保険への加入が必要になります。
そうすると、たとえば、年収が108万円程度の場合、保険料を引くと加入しない方が手取りは多くなります。
配偶者の扶養の範囲内で働きたい場合も、106万円を超えないことが条件となります。
しかし、以下の場合は加入を除外されます。
- 雇用契約が2ヶ月未満であること
- 週の勤務時間が20時間未満であること
全ての人が加入対象になる「130万円の壁」
前の項目でお伝えした通り「106万円」は条件によっては社会保険への加入を免除されます。
しかし、給与年収が130万円を超えると、全ての人が社会保険に加入することになります。
この金額を超えると配偶者の扶養からも外れ、自身で保険料を支払うことになります。
その結果、手取りが減る可能性も出てきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は「社保完備」の意味と、メリット・デメリットについて説明しました。
また、扶養の範囲で働く為の年収の壁についても説明しました。
仕事を探す際は、自身の経済状況などを鑑み、「社保完備」で働いた方がいいのか、そうでないのか、慎重に見極めるようにしましょう。