2022年6月、東京都の小池知事が育休(いくきゅう)の新愛称として育業(いくぎょう)を発表しました。
未来を担う子供を育てるのは立派な仕事、休んでいるのではなく、仕事をしているのだという意味が込められているそうです。
呼び名を変えることにより、未だ取得率の低い男性の育休取得を促す狙いがあります。
また、育休の制度自体も、より子育ての実態に即したものへ2022年10月から改正されます。
そこで今回は、育休取得を考えている社会人の方、特に男性へ向けて、育休の申請方法から制度の改正点まで徹底解説します。
目次
【1】育休とは
「育休」の正式名称は「育児休業」といい、育児・介護休業法に基づく休業制度のことで、男女問わず取得することができます。
そうです。
ですから取得することに何の後ろめたさも感じる必要はないわけです。
1-1取得可能期間
育休は原則、子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで取得できます
そうです。
ただし、男女で取得開始可能な時期が異なります。
男性は、子どもが生まれた日から育休を開始できます。
女性は出産後に8週間(2ヶ月)、産休が認められていますので、育休は、産休明けから10ヶ月取得できることになります。
なお、育休期間内に子供を保育所に入れられなかった場合など、一定の要件を満たせば、最長で子供が2歳になるまで育休取得が可能となります。
【2】育休の申請方法・おススメの取得期間
育休を取得するためには、取得開始予定日の1カ月前までに、会社に書面で申請します。
そうですね。
ですから、さしあたり、出産予定日で申請を出しましょう。
実際の出産日がズレた場合は、申請後でも育休取得開始日を会社と相談して変更できます。
また、男性は会社に迷惑をかけるという意識からか、育休を取得しても取得期間を短めにする傾向があります。
しかし、取得すると決めたなら最低でも2ヶ月は取るべきです。
出産後の数ヵ月は女性は精神的に不安定で、産後うつにもなりやすいです。
男性も育休を取り、パートナーとしてその期間をしっかり支えるべきでしょう。
【3】育休制度について
ではここからいよいよ、育休制度の中身について詳しく説明していきます。
まず、現行の制度について説明した後、改正点についてお伝えします。
3-1現行の育休制度
現行の育休制度の大きな柱は「パパ・ママ育休プラス」と「パパ休暇」です。
パパ・ママ育休プラス
男女ともに育休を取得する場合に、子供が1歳2か月になるまで育休取得が延長される制度です。
ただし、取得可能な期間は男女とも1年間です。
また、取得の為の要件は以下の通りです。
- 男女とも育休を取得すること
- 配偶者が子どもの1歳になる前に育休を取得していること
- 制度利用者本人の育休開始予定日が、子どもの1歳の誕生日前であること
- 制度利用者本人の育休開始予定日が、配偶者の育休開始日以降であること
パパ休暇
育休は原則1度にまとめて取ることしかできません。
しかし、パパ休暇は、産後8週間以内(女性の産休期間中)に男性が育児休業を取得すると、子供が1歳になるまでの育休取得可能期間内に、もう一度育休を取得できる制度です。
これにより男性は、女性の出産直後(女性の産休期間中)に1ヶ月休み、その後、一度職場復帰し、子供が1歳になるまでに、再度育休を取得する、というようなことが可能になります。
しかしこの制度は2022年10月から施行されるに育児・介護休業法で廃止される予定です。
その代わりに、「産後パパ育休(出生時育児休業)」という新制度が始まります。
3-2 2022年10月からの改正点
2022年10月からの改正点は以下の3点です。
①産後パパ育休(出生時育児休業)の新設
産後パパ育休は、前の項目で述べた「パパ休暇」の進化版です。
まず、パパ休暇の条件でもあった、女性の産後8週間以内の育休取得が最長4週間、2回に分けて取得できるようになります。
加えて、産後8週間後の育休についても、最長1年間を、2回に分割して取得できるようになります。
②育休取得を促すための企業側の働きかけの義務化
今回の改正では、企業に対し、従業員に育休取得を促す以下の義務が設けられています。
- 育休に関する環境を整備すること(研修や相談窓口の設置など)
- 本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た従業員に対し、育休制度に関する詳しい説明と、育休取得意向の確認を行うこと
③大企業における育休取得状況公表の義務化
➁に加え、従業員が1,000人以上の企業に対しては、年1回、育休取得状況を公表することが義務化されます。
しかも公表は、インターネットなど、誰でも閲覧可能な方法で行う必要があります。
【4】育休中の給付金・社会保険料について
育休中は無給になることも多いですが、雇用保険に加入しており、一定の要件を満たしていれば、「育児休業給付金」が支給されます。
4-1給付金額
- 育休取得開始から最初の6カ月…休業開始時賃金日額×支給日数×67%
- ➀以降は50%
また、給付金は非課税です。
4-2社会保険料の免除
育休中は厚生年金や健康保険料などが免除される制度があります。
普段、保険料をどれだけ負担しているかは、所属している健康保険組合などによって異なりますが、だいたい月収の14%ほどです。
これが免除されるということになります。
まとめ
今回は育休についてその中身や改正点についてお伝えしました。
本文でもお伝えしましたが、子育ても立派な仕事です。
この記事をきっかけに育休を取得する男性が増えることを願っています。