おや?
モアイくんがしかめっ面で専門学校のパンフレットを眺めています。
どうしたのでしょう?
なるほど。
モアイくんのように、転職するにあたり、技術を身に付け、新しい業種へチャレンジしようとする人もいるでしょう。
しかし、転職活動中はお金に余裕がない人も多く、技術を学ぶためのお金を用意するのも大変です。
そんな時、味方となるのが今回解説する職業訓練です。
職業訓練では基本、無料で技術の習得ができ、受講中は給付金も支給されます。
目次
【1】職業訓練とは
職業訓練とは、ハローワークで求職活動をしている人へ向けた、キャリアアップのために必要な技術や知識を身につけるための公的な就職支援制度です。
冒頭でも述べたように、講座の受講費は原則無料で、受講中は給付金も支給されます。
1-1職業訓練は2種類ある
職業訓練には主に以下の2種類があり、それぞれ対象者や実施機関、講習や給付金の内容が異なります。
➀離職者訓練
対象:雇用保険の受給資格のある方(正社員・パートタイム労働者など)
訓練期間:3ヶ月〜2年
実施機関:国、都道府県・民間事業者(都道府県が委託)
受講内容:施設内訓練(機械、電気、建築、塗装、造園、印刷、ファッション等)
委託訓練(医療、介護、保育、財務、Webデザイン、プログラミング等)
給付金:失業手当(離職前の給与の50%〜80%程度)
通所手当(月額42,500円まで)
受講手当(1日500円×最大40日分)
離職者訓練の2つの受講内容にはそれぞれ特色があり、施設内訓練は「モノづくり系」、委託訓練は「専門的な技術の習得」となります。
➁求職者支援訓練
対象:雇用保険の受給資格のない方(主婦やフリーランスなど)
訓練期間:2ヶ月〜6ヶ月
実施機関:民間事業者(厚生労働大臣が認定)
受講内容:基礎講座(パソコンスキル基礎等)
実践講座:(介護、営業、販売、事務、Webデザイン、プログラミング等)
給付金:職業訓練受講手当(月額10万円)
通所手当(月額42,500円まで)
求職者支援訓練の受講内容は基礎と実践に分かれており、基礎は社会人経験が少ない方向けです。
一定の社会人経験のある方は、実践講座で専門スキルを身に付けるのが良いでしょう。
そうですね。
ただし、各給付金(手当)には受給のための条件があります。
詳しくは次章で見ていきましょう。
【2】給付金の受給条件
2-1失業手当
離職者訓練の手当の1つである、失業手当の受給条件は以下の2つです
- ハローワークで求職の申込や面接など、積極的に転職活動をしていること
- 雇用保険の被保険者期間が過去2年間で通算12ヶ月以上あること
※会社都合での退職の場合は期間が半減されます(1年間で通算6ヶ月以上)
2-2職業訓練受講手当
求職者訓練の手当である職業訓練受講手当の受給条件は以下の通りです。
- 本人の収入が月8万円以下
- 世帯の収入が月25万円以下
- 世帯の金融資産が300万円以下
- すべての訓練実施日に出席している
- 現在住んでいる場所以外に、土地や建物を所有していない
- 同一世帯内に給付金を受給して職業訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、不正行為によって特定の給付金を受けたことがない
➀~⑦を全て満たす場合のみ、職業訓練受講手当が支給されます。
【3】職業訓練のメリット
職業訓練のメリットは無料で受講できることや、支給金以外にもあります。
3-1就職支援を受けられる
職業訓練ではキャリアに関する相談や、職業紹介、面接対策、応募書類の作成サポートなど、さまざまな就職支援を受けられます。
しかもこれらのサービスは職業訓練期間中だけでなく、いつでも利用可能です。
3-2託児サービスがある
職業訓練の講座には託児サービスがついているものがあります。
就学前の子どもであれば無料で預かってもらえます。
託児サービスがない講座を受講する場合でも、職業訓練の受講は「保育が必要な事由」に相当するため、認可保育園へ預けることができます。
【4】職業訓練の申込方法
メリットがわかったところで、職業訓練の申込方法を説明します。
➀ハローワークで求職の申し込みをする
職業訓練を受けるにはハローワークで求職の申込みをするのが前提です。
求職の申込み無しに、職業訓練のみを受講することはできません。
求職の申込をし、職業相談の際に、職員に職業訓練受講の意志を伝えましょう。
その上で、どの講座を受講するかなど、具体的な相談もしましょう。
ハローワークの窓口では、応募受付中の講座の資料をもらうことができます。
また、ネットでも講座の検索が可能です(ハローワーク訓練・検索)。
ちなみに、住んでいる自治体だけでなく、他の自治体の講座も受講可能です。
なお、講座の締め切り直前は窓口が混雑します。
職業訓練を受講したい場合は、早めに職業相談をしましょう。
➁受講申込書をハローワークに提出する
受講申込書に必要事項を記入し、ハローワークの窓口に提出します。
提出された受講申込書をもとに、書類選考が行われます。
そのため、受講申込書は志望動機などもしっかり書きましょう。
➂筆記試験、面接を受ける
書類選考を通過すると筆記試験と面接があります。
筆記試験は20分ほどで国語と数学です。難易度はそれほど高くありません。
面接では、受講希望の講座で身につく技術や知識が、なぜ転職する上で必要なのか質問されることが多いです。
自身のキャリアプランと合わせて説明できるようにしておきましょう。
➃合格者向けの説明会に出席し「受講のあっせん」を受ける
全ての選考に合格した方には、以下の書類が届きます。
- 合格通知書
- 合格者向け説明会の案内
- 提出が必要な書類一式(誓約書、受講届、通所届など)
合格者向け説明会へは必ず出席しましょう。
欠席すると「受講する意思がない」とみなされてしまいます。
この説明会で、合格通知に同封されていた必要書類も提出します。
万一、提出書類に不備があると、訂正印が必要になるので、念のため印鑑を持参しましょう。
説明会に出ると、受講指示書または受講推薦書を貰えます。
この書類が、“ハローワークから受講のあっせん”を受けた証明になります。
まとめ
職業訓練は無料で技術を学べ、支給金もある、転職者にとっては大変助かる制度です。
技術を身に付け、新しい業種へ飛び込みたいけれど、経済的なことがネックで踏み出せないでいる人は、受講を検討してみてはいかかがでしょうか。