アンラーニングという言葉をご存知でしょうか?
アンラーニングとは、学習棄却とも呼ばれるものです。
経済や社会が急速に変化していく時代にあって、いつまでも同じ価値観で仕事をしていても、企業は発展しないどころか衰退してしまう危険性があります。
管理職にあたる人やチームのリーダー的な立場の人はアンラーニングを取り入れ、部署やチームの発展を担う責任があります。
今回は、アンラーニングの実践について紹介します。
人材育成の効果的な方法です。
チームをまとめる役割の人はぜひ取り入れてみましょう。
目次
アンラーニングとは
アンラーニングとは、学習棄却とよばれるものです。
簡単に言うと、これまで学んできた知識を捨てて新しく学び直すことです。
今はVUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代といわれています。
社会経済が急激なスピードで変化する時代、環境の変化に対応するためには新しい勉強をする(ラーニング)だけではなく従来の知識を捨てることも必要だと考えられています。
社会の変化に伴い、新しい価値観が生まれ、新しい仕事や役割も生まれることを日々実感する人も多いでしょう。
そのようなときに、古くなった知識や価値観をリセットして最新の情報をインプットし時代の波に乗り続けるために実践することがアンラーニングです。
企業は時代遅れになった知識や価値観を適宜修正していかないと社会から取り残されてしまうことになります。
個人も同じことで、ビジネスパーソンは従来の知識や価値観を捨てて自らイノベーションを起こす必要があります。
既存の価値観や過去の成功体験に固執することなく、これまでの価値観や知識を見直しながら取捨選択し、積極的に新しいものを取り込みましょう。
環境の変化に適応しながら、自らを柔軟に変えていける人がVUCAの時代を乗り越えていけます。
アンラーニングが必要な理由
現代の社会においてアンラーニングが必要とされる理由について解説します。
時代の変化についていくため
社会は日々変化し、時代が進むスピードは凄まじいものがあります。
常に危機意識を持ち、有効でなくなった知識は潔く捨てて新しいものを取り入れていかないと時代の変化に対応できません。
従来の習慣に縛られていては企業としても個人としても衰退してしまう危険性があります。
転職先で新しいスキルを身につけるため
転職をしたばかりの人は、今までの自分の「当たり前」を見直す必要があります。
同業種・同職種への転職であっても、企業ごとに風土や文化が違います。
転職後の自分を発展させるためにも、新しい環境でのやり方を柔軟に受け入れる姿勢が必要です。
社員が成長し続けるため
ベテラン社員になるほどこれまでのやり方を変えたがらないことが多い傾向があります。
仕事に慣れることは効率を良くする上で大切なことですが、変革をこばむ、新しい学習を放棄するという危険性もはらみます。
既存の仕事の考え方や進め方を貫くだけでは社員の成長も望めません。
ベテラン社員が成長し続けるためにアンラーニングは必要になります。
業務効率を上げるため
「これでいい」と思っていた業務ルーティンも、よくよく見直してみると時代に合わず非効率なことが多いものです。
効率化という観点からアンラーニングに取り組むことでよい結果に結びつきます。
強い組織にするため
時代や社会が変化しても強い企業であり続けるためには、アンラーニングの実践を繰り返すことが大切です。
常に時代の変化を敏感に感じ取り、企業の新陳代謝を図り続けることで組織は強くなります。
アンラーニングの実践
アンラーニングを実践するためのポイントについて解説します。
ひとりひとりが自分の仕事を振り返る
アンラーニングのスタートは、仕事を振り返ることです。
振り返る際には、認知と内省の両方を言語化しましょう。
日々の業務で問題に感じていること、失敗したことを振り返り
「このやり方は時代に逆行していないか?」
「この仕事は今の価値観に合っているのか?」
「もっと効率的な方法があるのではないか?」
「これまでの常識にこだわっていないか?」ということを考えましょう。
フィードバックし合う
ひとりで内省しアンラーニングを実践することは困難です。
同じ部署やチームの仲間でフィードバックをし合いましょう。
自分ひとりでは分からなかった気づきをもらえます。
チーム全体としても「今後も変わらず必要なもの」「変革したほうがいいもの」を取捨選択する場としましょう。
チームで取り組む
アンラーニングはひとりで完結できるものではありません。
管理職やリーダーがイニシアティブをとり、全員でアンラーニングを実践しましょう。
注意事項
アンラーニングを行う上での注意事項や知っておくべきことについて紹介します。
モチベーションが下がる危険性
長年のやり方に慣れ親しんだベテラン社員は、アンラーニングすることでモチベーションを下げる可能性があります。
新しいことへの心理的な抵抗があるためです。
企業や部署・チームが発展していくために必要であることを理解してもらうことが重要です。
一時的なパフォーマンス低下
これまでのやり方を変えることで、一時的に全体のパフォーマンスが落ちることも大いにあります。
アンラーニングはすぐに結果に結びつくものではありません。
一時的なパフォーマンス低下は覚悟しておくことが必要です。
長期的な視野を持ち、チーム単位で取り組んでいきましょう。
社員が落ち込んでしまう
自分の仕事を振り返る過程で「自分はなんて非効率な仕事を続けていたのだろう」などと考えて落ち込んでしまう社員がいます。
アンラーニングは内省し気づきを得て、発展していくことが目的です。
落ち込む社員には「気づき」を持てたことを褒めましょう。
まとめ
今回は、アンラーニングについて解説しました。
凄まじいスピードで社会経済が変化する今の時代に、アンラーニングは不可欠なものです。
今までと同じやり方では企業も個人も発展することは望めません。
アンラーニングの重要性を理解し、部署内やチームが一丸となって実践し続けましょう。
そうすることで、時代に乗り遅れない企業であり続けられるでしょう。