1分で理解★【新制度】建設キャリアアップシステムって何?メリットとデメリットについて解説!

建設業には数々の大きな変化の波が押し寄せています。

その1つが建設キャリアアップシステム

建設業で働く人にとってどのような制度なのかをご紹介します。

建設キャリアアップシステムとは

建設キャリアアップシステムは日本の人口減少とそれに伴う建設業での労働者不足の対策として生まれました。

建設業の賃金は他の産業と比べると若い頃から上昇しやすい一方で、一番お金が必要になる40代頃からの伸びが鈍い特徴があります。

労働者からすると「これからの将来はどうすれば良いのだろうか」「このままで大丈夫なのだろうか」という感情に繋がってしまいます。

また、工種や、社内での等級による賃金の差はあっても、その人の技量を統一した基準で認める資格制度のようなものは部分的にしか存在していませんでした。

建設業はいろいろな会社や現場を点々としてスキルを磨く側面もあり、これも客観的な評価がしにくいのも一因です。

超一流の能力を持つ人でも所属する会社制度や取引単価が優先されて、スキルにふさわしい賃金が支払われてきたとは言えません。

建設キャリアアップシステムは、今までの経験や持っている資格、社会保険加入状況などを電子情報として一元的に管理をして、誰もがその人の能力を客観的に知ることができます。

処遇の改善・向上に繋がる環境を作るために考えられたシステムなのです。

建設キャリアアップシステムは義務化される?

2021年12月現在、建設キャリアアップシステムへの登録は任意となっています。

ですが、国土交通省の政策方針には建設キャリアアップシステムが導入されていることを前提にした制度発表が増えています。

ゼネコンやハウスメーカーにおいても、取引条件や管理方法として指定するケースが増加しています。

長期的に見れば義務化されると考えた方が良いでしょう。

キャリアアップシステムで何が変わる?メリットは?

スキルが明確化される

労働者にはICカードが渡され、現場入場時に端末にタッチするなどして勤務記録を残します。

毎日の記録はその人がどれだけ経験をしてきたかを証明するものになるのです。

ICカードには保有資格や講習の受講記録も保存され、知識・技能やマネジメント能力が証明できます。

会社側の人材育成に対する意識向上

建設キャリアアップシステムでは経験年数、保有資格などスキルに応じて4つのレベルに分類されることになります。

  • レベル1 初級技能者(見習い)
  • レベル2 中堅技能者(1人前)
  • レベル3 職長級の技能者
  • レベル4 高度なマネジメントを有する技能者

公共工事の入札に使用される経営事項審査ではレベル3とレベル4の労働者が在籍していると加点される見込みです。

点数が高いほど入札で有利になるため、会社側としては人材を育成する必要が生まれてきます。

今までの経営事項審査では施工管理技士といった技術者を重視してきましたが、建設キャリアアップシステムにより、実際に現場施工を担う技能者の存在が注目されるようになるのです。

少子高齢化によりベテランの引退も進む中、レベル3とレベル4の高度な人材を揃えるには本人の努力だけではなく、会社の関与は必要不可欠です。

キャリアが明確になり長期的に働きやすくなる

建設キャリアアップシステムのレベルは就労日数、保有資格、マネジメント経験によって定められています。

例えばレベル4の高度なマネジメントを有する土木技能者の場合は

  • 就労日数 10年以上
  • 保有資格 登録土工基幹技能者講習や1級土木施工管理技士
  • 職長経験 3年以上

このように定められています。

働く側としてはステップアップが明確で、レベルにあった待遇を要求することができます。

もし要求が受け入れられないならば、適正に評価をしてくれる会社への移動も簡単です。

一方、会社側としてはせっかく育てた貴重な人材を失う訳にはいかず、対策を取らざるをえなくなるでしょう。

退職金が適正に受け取れるようになる

建設業には「建設業退職金共済」という国が作った退職金制度があり、通称「建退共」と呼ばれています。

多くの会社や現場を渡り歩くことが多い建設業の労働者を守るために生まれたものです。

この制度では公共工事で就労した場合に共済手帳に証紙が貼られ、もし建設業から離れる場合には貼られた証紙に応じた退職金を受取ることができます。

しかし、建退共の運用を適正に行わない会社も少なくありません。

社内規定などを言い訳に、証紙貼付を拒否したり誤魔化したりして労働者が退職金を受け取れないケースもあったのです。

また、手帳に証紙を貼る事務負担が大きいこともあり、電子申請方式に移行することになりました。

その電子申請方式と建設キャリアアップシステムがリンクすることになったのがポイントです。

IDカードで現場への入場が記録されると、建退共にも電子処理されるようになります。

これにより、適正に退職金が支払われる仕組みができるのです。

まとめ

建設キャリアアップシステムは始動したばかりの制度です。

まだ参加していない会社も多くありますが、少しずつ参加せざるを得ない流れになっていくと予想がされています。

働く人たちにとっては自分の将来を見通すことができます。

目標に向かって努力するモチベーションにもなるでしょう。

制度を学ぶことで、自分の待遇をより良くする近道になるはずですよ。