厚生労働省が発表した令和2年上半期雇用動向調査結果によると、
20~24歳の転職入職率は、男性7.7%、女性9.6%。
前職を辞めた理由の上位には
「労働条件が悪かった」「給料等の収入が少なかった」「人間関係が好ましくなかった」
などが挙げられています。
令和2年の上半期といえば第1回緊急事態宣言が出て、街から人が消えた、あの頃です。
入社後すぐにテレワーク勤務やハイブリッド勤務になった人も多かったことでしょう。
充分な研修を受けないまま、上司の顔や名前も覚えないまま、いきなり仕事に突入。
本来ならば、上司に仕事を教えてもらったり、飲み会などを通して同僚とコミュニケーションを取ったりすることができるスタート時期でした。
あれから1年半、今も人間関係がうまくいっていないと気落ちする若手社員がいます。
そこで、人間関係に悩まないためのポイントを紹介します。
苦しい思いをしているのは、あなただけではありません。
目次
心が落ち着かない理由をノートに書きだそう
自分は何に不安を感じ、どのような不満を抱いているのか、細かく思い出してノートに書き出してみましょう。
思いつくままに、気持ちを率直にぶつけます。
怒りや悲しみもあますことなく書きましょう。
誰も見ないノートなので、なぐり書き状態でもいいのです。
これは、マイナスの感情をあぶり出す方法。
目的はストレスを減らすことと、後で読み返して自分の本当の気持ちに気づけること。
この「筆記開示」は、心理療法のひとつとして用いられています。
モヤモヤする理由を探る
書き出すことで、心が落ち着かない原因が見えてきたでしょうか。
ここからは、幾つかの事柄に分けて、対処の仕方も紹介します。
仕事のミスが気になり、心が落ちつかない
仕事の手順をしっかり教えてもらえていないために、ミスを起こすことがあります。
本来、会社には教育制度が整っています。
若手社員は、その教育制度のマニュアルに沿って仕事を覚えていくはずです。
しかし突然始まったコロナ禍で、うまく運用されていない会社(テレワークの環境の不備・労務環境の不備・心身のケアの課題など)も多く見られたのです。
まずは、自分がどのようなミスをしてしまうのか、何につまずくのかを明確にしましょう。
その上で、直属の上司に相談してください。
誰に相談すればいいかわからないときは「このようなことを相談したいのですが、どなたに質問すればいいですか?」と部署の上司にたずねましょう。
上司から担当者へ話を通してもらうなど、相談しやすい環境を作ってもらうことが大切です。
その際は、教えるのが当たり前だろうという態度ではなく、謙虚な姿勢で臨んでください。
コミュニケーションが取れず、心が落ちつかない
苦手な上司や先輩がいると、うまくコミュニケーションを取れないことがあります。
価値観や考え方が合わないと感じたとき、つい距離をとってしまいますね。
たとえば、軽い冗談のつもりの発言だったとしても、自分には嫌みに聞こえたり、ハラスメントに思えたり・・・。
苦手と感じることは、ストレスになります。
対処の仕方は、言動を控えてもらうように伝えることです。
悪気なく発言する人ならば、真摯に受け入れてくれる可能性が高いです。
直接伝えにくい人ならば、人事部へ相談しましょう。
会社によっては、相談窓口を設けているところもありますから、そちらを利用してください。
次に、ネガティブな発言の多い同僚などの影響を受けて、自分の心が乱れてしまう場合です。
上司の愚痴や会社の欠点を聞くのは、うんざりすることでしょう。
嫌だからといって発言を無視する行動は、社会人として適切な態度ではありません。
対処としては、できるだけ別の話題を出すなどして、ストレスなく話せる内容へすり替えていくことです。
思ってもいないのに、相手の言葉に共感したり、うなずいたりする必要はありません。
仲間外れにされたような疎外感を感じることがあります。
たとえば、同僚から無視されたり、自分にだけ連絡事項がまわってこなかったり。
仕事に支障が出ているときは、すぐ上司に相談してください。
業務が滞るのは会社にとってマイナスなので、改善すべく動いてくれるはずです。
一方、上司から無視されているときは、その上司より上の立場の方に相談しましょう。
つまり、第三者に仲介に入ってもらうのです。
話し合いの場を設けてもらったら、自分の主張ばかり述べるのではなく、円満な解決を望みたいという姿勢で話し合いの場につくことが大切です。
指示がコロコロ変わり、心が落ちつかない
指示がコロコロ変わると、作業が煩雑になり心もぐったりします。
もちろん、社内のさまざまな事情で変更になることは多々起きます。
しかし、身勝手な上司の言動によって部下が振り回されるとしたら、心労が伴います。
たとえば、急に無茶な指示をしてきたり、日を間違えて伝えてきたり。
うまく行かなかったとき、あなたの責任のような発言をする上司も少なからずいます。
その際に重要なのは、理由をしっかり聞いておくことと、メールなどで文字を残しておくことです。
たとえば「業務にまだ慣れていないので、〇〇の件の確認をさせてください。〇日はこのように指示をいただきましたが、今日はこのような指示でした。円滑に進めるため、変わった理由を教えていただけないでしょうか」と丁寧な内容で尋ねるのです。
納得した上で仕事に向かうとストレスは軽減できますし、文字に残すことで自分の勘違いを防ぐこともできます。
ハラスメントを受けていて、心が落ちつかない
人間性を否定するようなパワハラや性的な言動によるセクハラなど、人間はハラスメントを感じると、心がむしばまれます。
不快と感じることを言われたりされたりしたときは、上司に相談してください。
上司に伝えにくいときは、会社の人事部に相談しましょう。
また、大企業は2020年6月、ハラスメント相談窓口の設置が義務化されました(中小企業は2022年4月から義務化)。
相談員やカウンセラーが、自分のプライバシーを守った上でサポートしてくれます。
会社外にも、「こころの耳電話相談」「みんなの人権110番」といった公的な機関の窓口があります。
そちらを利用するのもいいでしょう。
まとめ
重要なことは、自分が不満や憤りを何に感じているか明確にすることです。
心の中のモヤモヤをすべて棚卸しすれば、対処の仕方が見えてきます。
もし、ボタンの掛け違いだったと気づいた場合は、再スタートできる可能性も潜んでいます。
後編では、人間関係がうまくいく5つのコツを紹介します。
相手に変わってほしいと相談しているだけでは、物事は前進しません。
自分から言動を変えることで、ストレスを軽減させることも可能です。