3分で教える社労士が教える★新型コロナウイルス感染症の影響による労働トラブルを防ぐには?

(2020年4月17日 更新)

新型コロナウイルス感染症に罹患された皆様及び関係者の皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。


また、このような局面においても、国民の健康と安全を守るために懸命に努力されている医療・介護・保育関連の従事者の皆様、地方自治体や公共団体の皆様に感謝と敬意を表させていただきます。

また、本騒動による出勤停止や、自宅待機などで企業はもちろん、人々の生活にも大きな影響を及ぼしている事かと思います。

今回は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言等により企業が休業する場合に、

賃金はどうなるのか厚生労働省のQ&Aにもとづいて、整理致します。

中小企業の皆様にとって、少しでもお役立てできれば幸いです。

1. 法律の定め

【休業手当】使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

つまり、「使用者の責めに帰すべき事由」の場合には「休業手当」を支払う必要がある、ということになります。問題となるのは、新型コロナウイルス感染症の影響による休業が「使用者の責めに帰すべき事由」に当たるか、という点になります。

では、「使⽤者の責に帰すべき事由による休業」とはどのような事例をいうのか見てみたいと思います。

  • 使用者が労働者を違法に解雇、出勤停止、ロックアウトした場合
  • 機械の故障、検査
  • 原料、材料の不足
  • 電気等の燃料の供給不足
  • 運転資金の不足等による操業の全部または部分的停止

次に「使用者の責に帰すべき事由に該当しない事例」は、以下の通りです。

  • 天災事変による休業
  • 休電による休業
  • 労働者側のストライキに対して、使⽤者側が作業所閉鎖をした場合の休業
  • 労働協約、就業規則、労働契約等で休⽇と定められた⽇

「使用者の責めに帰すべき事由による休業」とは、使用者が休業になることを避けるため社会通念上での最善の努力や対応をしたかどうかが判断の基準となっています。

2. 休業補償

コロナウイルスに関連して企業が休業する場合の賃金はどうなるのか、厚生労働省のQ&Aには次の通り記載されています。

2-1新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合

労使で十分に話し合い、休暇を取得できる体制を整えることが望ましい。

労基法では平均賃金の6割までを支払うことが義務付けられているが、就業規則等により6割を超えて支払うことを定めることが望ましい。

2-2 労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合

一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられるため、休業手当を支払う必要はない。

なお、被用者保険に加入していれば、要件を満たせば傷病手当金が支給される。

2-3 新型コロナウイルスへの感染が疑われる従業員を休業させる場合

職務の継続が可能である従業員について、使用者の自主的判断で休業させる場合には一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要がある。

2-4 労働者が発熱などの症状があるため自主的に休業する場合

発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱う。

一方、発熱などの症状があることのみをもって一律に労働者に休業を命じる措置をとる場合のように使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要がる。

2-5 新型コロナウイルス感染症によって、事業の休止などを余儀なくされ、やむを得ず休業とする場合

労働者を休業させるときには、労使がよく話し合って労働者の不利益を回避するように努力することが必要。

不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の支払義務はないが、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し判断する必要がある。

2-6 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や要請・指示により、事業を休止し、労働者を休業させる場合

労使がよく話し合い、休業中の手当の水準、休業日や休業時間の設定等について、労働者の不利益を回避する努力が必要。

休業に関する結論

結論として、今回の非常事態宣言後の休業については一定の要件を満たす場合、不可抗力であり労基法26条による「使用者の責めに帰すべき事由」がなく、休業手当の支払いが不要である、と読み取れる一方、一定の要件を満たさない限り一律に休業手当の支払い義務がなくなるわけではありません。

Q&Aにも、従業員がコロナウイルスに感染した場合や、自主的に休んだ場合を除き、「休業手当の支払いが不要である」とは明文化されていません。

非常事態宣言は、あくまで「要請」であるため、テレワークなどの検討を十分に行い、それでも休業を要すると判断された場合を除き、休業手当の支払いが必要であると理解できます。

事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しては、雇用調整助成金が支払われます。

今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、解雇等を行わず、賃金支払を検討するべきではないでしょうか。

3. 休業手当を支給する事業主が申請できる「雇用調整助成金」

雇用調整助成金は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。

新型コロナウイルス感染症により影響を受ける事業主を支援するため、以下のような取組が行われています。

●感染拡大防止のため、4月1日~6月30日の緊急対応期間中は、全国で、全ての業種の事業主を対象に、雇用調整助成金の特例措置を実施します。

出典:厚生労働省ホームページより

まとめ

戦後最大の経済危機、100年に1度とも言えるパンデミックに際し、事業主の姿勢が問われる状況です。

「使用者の責めに帰すべき事由」がなく、労基法上の休業手当支払義務がないとしても、一人でも多くの労働者が救われ、事業主においてはコロナ騒動を抜け出した後の事業継続のため、「雇用調整助成金」などの制度を最大限活用することを考えるべきでしょう。

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